最近はふるさと創生事業で各地に温泉が掘られ、浴場施設が沢山出来てきた。
これらはほとんど地下1,000mから動力で汲み上げ、源泉温度も入浴温度に適する42℃以下で加熱して利用している。
明治19年(1886年)に刊行された本鉱泉誌では「鉱泉ノ意義及其尋常水トノ区別」に普通水との違いが明確にされている。
本来温泉は鉱泉の1分類に過ぎず、温度の低い鉱泉が冷泉で、高い鉱泉が温泉と呼ばれるものである。
温泉法第2条及び別表の規定で地下水が25℃以上あれば溶けている物質が何もなくても温泉となる。また湧出温度が低くても別表の物質が規定以上溶けてれば温泉となる。この規定は温かい水が湧く泉という温泉本来の姿を歪めている。
温泉浴槽管理から見ると最近の旅館、ホテル、日帰り温泉施設等々は施設の大型化、各種の湯船の増設に伴い源泉の湯量不足と浴槽内温度、清掃管理の利便性からろ過循環し、ゴミと汚れを取り、循環する事による温度の低下をボイラー等の加熱器設備で補い、かつ殺菌の為塩素消毒をしているところが多い。
塩素の匂いを嫌う為消毒を省く施設もあるやに聞く。昨今のレジオネラ菌による死亡事例でろ過循環装置での塩素消毒の徹底を監督官庁が厳しくなりましたが、強力な殺菌力を有す塩素は肌の細胞を破壊し、老化を進める大きな原因の一つです。又塩素には発ガン性物質トリハロメタンが含まれている事は周知の事実である。
ろ過循環は浴槽内への新しい温泉注入が少なくて済むが、浴槽内の温泉は経時的に老化し、温泉としての生命のない希薄水溶液となり、ろ過循環装置の管理を怠ると浴槽水は雑菌の巣となり、肺炎発病の元となるレジオネラ症の感染が心配されます。
長野県内の温泉施設の77%(1998年現在)は循環式なので全国でも同様かと思われる。
循環式であるかどうか見分け方は浴槽からの溢流量と温泉の注入口(温泉の滝口)の量との違いで判断できます。
すなわち湯船の淵よりお湯が沢山流れて出ているかどうかである。
当館のお湯は皆さんの身体を温めた後、他の旅館の排湯といっしょになり温泉街の道路の下を流れ、冬期間は道路上に積る雪を融かす役目をしています。
|